HP移転のお知らせ

東京・参宮橋に位置する、ちょうどいいアート専門店 ピカレスクのホームページを移転しました。

ブックマークなどしてくださっていた方は、 お手数ですがリンク先の修正のほどよろしくお願いいたします。

https://picaresquejpn.com/

 

※トモコの最新情報は下記リンク先よりご確認いただけます。

https://picaresquejpn.com/artist/tomoko/

トモコ

5月生まれ

東京都出身

 

〜作家コメント〜

想いを絵に乗せて、想いを色に込めて。言葉で上手く人に想いを伝えるのが苦手な私。絵で、その想いを伝えたい。下手っぴな言葉も添えて。不器用だからこそ出来る事を精一杯にしていきたい。全力で。

日本・海外にてフリーで絵を描いて活動をしています。ペンのみで、下描きは一切せず、頭の中にある想いやイメージ、心情等を描いています。心の中にあるカメラのシャッターをきるように、絵に心の中の情景、大切な感情、思い出を残しています。絵は、全て手描きのみで描いています。

オオサコトモコさん インタビュー

2015.10.05

「あの人本当はこう思ってるんじゃないか」

「こんな事いったらどう思われるだろう」

 

そんな、人と接すれば必ず起きる小さな小さな怯え。それに気づかない人もいれば、別に気にしない人もいれば、全てに向き合って常に「正解」を探そうとする人もいる。

 

オオサコさんは、まさに「正解」を探し求めるど真面目タイプ。

「自分には良いところなんか全然ない。」今の自分をどう見ているのか聞いてみると、即答でこう返ってきました。そして、彼女は続けます。
「でも、唯一良いところがあるとしたら、どんな他人の意見でも受け入れられる心だと思います。」

 

オオサコさんは、20歳から創作活動を始めて今年で7年目。美大は出ずに専門学校で勉強し、自分らしさを少しずつ発掘してきました。そんな彼女には、幸か不幸か、周りから色んな意見が寄せられます。(本人は「有り難いです」としか言いませんが。)どんな意見でも受け入れられる、いや、受け入れようとしまうからこそ、ずっと一人で言葉の波に揉まれてきたオオサコさん。

彼女が敏感に感じ取ってしまう言葉の波は、絵を描き続ける黒いエネルギーでもあります。オオサコさんの作品は、真っ白い紙に下書きなしで一気に描き上げるのが特徴で、彼女はそれを「デトックス」だと言うのです。

 

彼女の作品には、一見とても元気で明るいファンタジーの世界が広がっています。ですが、テーマはいつもマイナスから入るものばかり。人と接するうちに無意識に積もった不安や悲しみをデトックスするように手先に溶かし紙に伝えていく過程には、これもまた無意識のうちに「私を分かって欲しいけど、誰も傷つけたくない」という心の葛藤があります。そして、最後には「傷つけたくない自分」が勝って、明るい世界となって作品に広がっています。

 

私は、オオサコさんの話を聞くまで、彼女の作風が一体どこから来るものなのかずっと疑問に思っていました。でも、人に対する彼女の優しくも脆い感情のバランスが、このファンタジーを生んでいたのだと考えるようになりました。

 

 

 彼女はまた、「絵によって人をもてなしたい」と言います。「自分の人間的な部分をみて絵から離れていく人がいないように、じんわりと好きになってくれる人を増やしたい」と。心の中の怯えに人一倍向き合って、精一杯の優しさに包んで生まれる彼女の作品。それは、「もてなし」というより、精一杯の他人への「歩み寄り」とも言えるかも知れません。

 

怒りや悲しみをぶつけるのはすごく疲れるし怖いものです。だから気づいたら面白くないのに笑っていたりして、人に優しくしようとするあまり、本当の自分を出せないでいたりする。そして、知らずのうちに心に膿が溜まっていく。そういう類の孤独感というのは、きっと多くのひとが直面するものだと思います。オオサコさんは、その膿をエネルギーに変えて、作品のフラットな世界に昇華していく。私にはそれがとてもイマドキな感情の発散方法に思えて、彼女の作品の新たな魅力に気付けたような気がしました。こんな風に思うのは私だけかも知れません。でも、真っ白な紙に彼女の手から世界が生まれる過程を紐解くことで、ファンタジーでフラットな世界に、現代ならではの複雑な人間味が感じ取れる気がするのです。

 

桑間千里