HP移転のお知らせ

東京・参宮橋に位置する、ちょうどいいアート専門店

ピカレスクのホームページを移転しました。

 

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お手数ですがリンク先の修正のほどよろしくお願いいたします。

https://picaresquejpn.com/

 

※あべせいじの最新情報は下記リンク先よりご確認いただけます。

https://picaresquejpn.com/artist/seijiabe/

あべせいじ

9月14日生まれ

宮城件登米市出身

 

〜作家コメント〜

グラフィックデザイン、イラストレーション、立体作品や、ブローチなどの身につけられる作品もつくっています。自分らしい表現追求しながら作品に触れた人たちがあたたかい気持ちになったり、やさしい気持ちになれるような温もりのある作品を意識して制作活動をしています。

あべせいじさん インタビュー

2015.12.15

 

 Picaresqueに展示している作品の中でも、あべせいじさんの作品はかなりの癒し系です。特に女性からの人気は高く、作品を見るや否や、ほぼ衝動的に購入されるお客様をこれまでギャラリーで何人も見てきました。そんな、とにかく可愛らしい作品を数多く生み出してきたあべさんですが、普段一体どんな想いを込めて作品を制作しているのでしょうか。そこには、「可愛い」の一言では表しきれないあべさんの何かが、きっと投影されているはずです。そんな思いを抱きながら、あべせいじさんにインタビューを行いました。

 

 あべさんは普段、デザインの仕事をしながら作品制作をしています。そのため、作品制作に取り掛かるのは大抵、デザインの仕事が終わった後の深夜の時間帯だといいます。デザインの仕事をしながら作品を作り、忙しく過ごすあべさんですが、そんなあべさんにとって、作品を制作する事にはどんな意味があるのでしょうか。「デザイン」と「アート」について、それぞれに対するあべさんの考えを伺ってみました。

 

 まず、あべさんはご自身のデザインのお仕事について、「デザインは、コンサルティングのように整理整頓する仕事に近いと思っています。」と説明してくれました。あべさんはまた、「デザインはお客さん(クライアント)のその先の、お客さん(生活者)の事を忘れてはいけない」と、「お客さん(生活者)」との関わりについて説明してくれました。

 

 では、あべさんにとって、アートをつくる事にはどんな意味があるのでしょうか。「デザインはクライアントとその先のお客さんを満足させる仕事」と考えるあべさんは、アートについて、「頼ってくれたお客さん(生活者)の事だけを考えられる」ものであり、尚且つ、「アートは自分発信で考えられるもの」だと話してくれました。目の前のお客様の幸せの為に、作りたいものを作れる。アートをそんな風に捉える事で、あべさんは普段のデザインの仕事とは違うやりがいを感じているようでした。

 

 

 ただし、あべさんにとって、アートとデザインは全く切り離されたものではありません。自分の表現したいものを作れる喜びをアートに感じつつ、それは、あくまで自分を必要としてくれる誰かのための作品であるという考え方には、最終的には「お客さん(生活者)」の視点で考えるデザインをずっとやってきた事がやはり影響しているといいます。そして、そんなデザインの考え方は、作品の親しみやすい雰囲気づくりにも繋がっているそうです。「一般の人に絵を持って貰うには、作品を飾ってもらうシチュエーションを大事にする」というあべさんは、常に作品に対して、「自分の部屋に置きたいと思えるか」を大切にしているとも、教えてくれました。

 

 

 作品の受け手の事を常に考えながら制作しているあべさんですが、それでは、アートの世界で「自分発信で表現」したいものとは一体何なのでしょうか。実は、あべさんの作品に共通するテーマは全て、「平和」なのだそうです。つぶやくように、「例え、もし戦争をテーマに制作しなくちゃいけなくても、平和的な表現をするだろうなぁ。」と仰っていた姿は、作品のまとう優しい雰囲気そのものでした。その後も、動物が好きで動物園や水族館によく足を運ぶというあべさんは、「小さい動物を大きくしたりするのが好き。その上に乗りたくなっちゃうね。」「普通敵対しちゃうような動物が、仲良くしてるのとか、好きだな〜。」など、どこまでも平和的な絵のアイディアを話してくれました。

 

 平和をテーマに制作を続けるあべさんにとって、目の前のお客様の事だけを考えられるアートというフィールドは、限りなく自由な場所なのかもしれません。作品を手に取る相手が幸せになれるように、試行錯誤して一つの平和なアートをつくる。それは、あべさんにとっては、自分の表現したいものだけを追求した制作活動よりもずっと、本当に目指す平和な作品に近いのではないでしょうか。あべさんの作品の持つ、思わず手に取りたくなる「可愛さ」は、お客様と平和の事を考えるあべさんの気持ちが形になっている証拠なのだと感じました。

 

 

                                桑間千里